‐ 白 雪 姫 ‐


 第5章、星空とココア
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そんなある日


練習が始まって一週間とちょっと経った頃、

下校時刻の9時前だから、みんなが教室で帰る準備をはじめていたとき


教室の端でわたしと岡田くんは、宮木くんに見てもらいながら、魔女と白雪姫のシーンをまだ練習していた。


「まあ、おいしそうなりんご!」


「声がちーさい」

と宮木くん。


「まあ おいしそうなりんご」


こう、かな?


「声大きくなったけど感情こもってない!」


「まあ、おいしそうな」



―バン


宮木くんが机を叩き、

教室が一気に静まりかえる


「お前、やる気あんの?そんな声で体育館の後ろにいる人まで聞こえると思ってんの?」


みんながわたし達を見ている。誰一人としてコトリとも物音をたてない。


「なあ、答えろよ?本気でやってんのかって」


「もういいじゃん?」


そう言ったのは岡田くんだった。


「倉内は本気だよ。分からねーの?どうしてそういう言い方になるわけ?」



「ごめんなさい」


二人がわたしを見た



どうしよう泣きそうだ…

でも絶対に泣きたくない




「ごめんなさい―」


「あっ、待てよ!」




 

わたしは

気付くと走りだしていた。


と言うより逃げ出した。




学校を出て行く宛もないのに、ただただひたすら走る。


走りつかれて道の真ん中で息を整える。


涙が出そうだけど、なんとか堪えようとして上を向くと、



「あ…」



空は満天の星空だった。



「きれい」



そう言ってみると、涙が一筋、わたしの頬を伝った。


それに続いて流星群みたいに、幾筋もの涙が流れた。




そのとき、


後ろから誰かが息を切らしながら走ってくる音がした。




振り向くと、



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